- 更新日時:2022/03/09 (水) 11:01
- 講演会
- 講師
- 大山 加奈 氏
(元日本代表女子バレーボール選手) - プロフィール
- 小学校からバレーボールを始め、小中高とすべての年代で全国制覇を経験。高校1年時に日本代表に選出され、力強いスパイクを武器に「パワフルカナ」の愛称で親しまれた。
以後、日本を代表するプレーヤーとして活躍、オリンピックにも出場された。
現在は全国での講演活動やバレーボール教室、解説、メディア出演など多方面で活躍され、スポーツ界やバレーボール界の発展に力を注いでおられる。 - 開催日時
- 令和3年12月4日(土)
- 開催場所
- 富山県民会館 ホール
- 演題
- 「繋ぐ ~バレーボールが教えてくれたこと~」
①バレーボールとの出会い
バレーボールとの出会いは、自分が同級生よりもとびぬけて大きく、クラブの先輩から誘われたことがきっかけ。当時は喘息持ちで非常に体が弱く、練習も休みがちだった。妹がチームに入り、レギュラーで活躍する姿をみて、妹に負けまいという目標が自分自身を大きく変えた。
その後、練習も休まず続けたことで、喘息も治り、バレーボールをがんばったことでみんなに褒めてもらえ、またがんばろうという自己肯定感が高まっていった。
全国大会で優勝したとき、表彰式で大林素子さんから「早く全日本に来てね。」と声を掛けられた。それがきっかけでオリンピック選手になりたいという夢が目標に変わった。
②恩師や家族のささえ
高校の恩師は自分で気付くように、ヒントを出して待ってくれた。また長所を伸ばす指導で欠点は指摘しなかった。そのため、自らやっていくバレーボールで、楽しさや魅力に気付くことができた。
日本代表合宿時は「何のために?」と思うほどハードな練習だった。持病の腰痛が悪化し、弱音を吐いてはいけないと思い、心身ともに限界だった。合宿終了目前に「もう無理だ。」と親や恩師に相談したら、「帰っておいで。辞めていいよ。」と言われて心が楽になり、もう少し頑張ってみようと思うことができた。
けがは取り返しがつかないこともあるので、逃げる勇気も悪くないこと、自分の弱い部分を打ち明けることで、強くなれる時があることを子どもたちにも伝えていかなければならない。
③けがを経験して思ったこと
オリンピックで体を酷使した結果、腰痛が悪化してしまい、手術しなければならなくなった。
現役復帰を果たした前例がない手術、苦しいリハビリを経て、484日後にコートに立つことができ、たくさんの人が温かく迎えてくれたことが、なにより幸せに感じた。
しかし、腰痛が再発。体の限界を痛感し、現役を引退する決意をした。
自分の選手時代はバレーボールがすべてで、体が壊れてもがんばる時代だったが、競技は人生の一部。競技を辞めてからのほうが圧倒的に人生は長く、その人生を大事にしていかなければならない。
④大事にしていきたいこと
自分の時代とは取り巻く環境も大きく変化している。私を含め指導者は、勝利至上主義から脱却し、常に勉強し続け、経験則だけで指導しないこと、子どもの長所を伸ばし目線を合わせること、子どもたちの立場になって物事を考えることなどを大事にしたい。そして、何よりもバレーボール、スポーツが楽しいと思ってもらうこと。もっとやりたい、上手くなりたいと自ら進んでトライできる環境が増えていってほしい。
これからすべての子どもたちが笑顔で豊かに過ごせるスポーツ体験の場を作る活動をしていきたいと思う。