- 更新日時:2013/08/02 (金) 16:38
- 講演会
- 講師
- 川島 隆太 氏
(医学博士 東北大学教授) - 開催日時
- 平成25年6月1日(土)13:00~14:45
- 開催場所
- 富山総合福祉会館 サンシップとやま 1F福祉ホール
富山市安住町5番21号 TEL:076-432-6141 - 演題
- 「脳を知り、脳を育み、脳を鍛える」
去る六月一日(土)午後一時より、富山県総合福祉会館において当会主催による講演会を開催しました。
講師には“脳トレ”でお馴染みの東北大学教授、川島隆太氏をお迎えしました。川島氏は「研究で得た新しい知恵や知識は、社会に直接還元しなければならない」ということをモットーとして活動されています。そして、生活習慣がもたらす脳への影響について分かり易くお話ししていただきました。
最初に 「睡眠」に関してのお話しがありました。
人間は、浅い眠り(REM睡眠)と深い眠りを繰り返して朝を迎えます。発達期の子どもは、夜十時には深い眠りの状態になっていないと、体を大きくし免疫機能を高める働きのある「成長ホルモン」を十分に利用することができません。
さらに、脳はREM睡眠の際に日中に行った経験や学習の内容を整理整頓し、記憶に書き込んでいます。
従って、睡眠時間が減るということは、REM睡眠の回数が減り、脳の復習の回数が減ることになります。その結果「睡眠時間の短い子どもは、学力や運動能力が低い」ということになります。
逆に、睡眠時間が長すぎる場合も問題です。通常は八時間程度で十分ですが、それ以上の睡眠時間を必要とする場合、何らかの阻害要因が考えられます。
今や、睡眠を阻害する要因の一つに中学生、高校生、一部では小学生にも広がっている携帯電話やスマートフォンが挙げられます。「メールをすぐに返信しないと仲間はずれになる」ということが、電源を切らないまま枕元に置くという暴挙に繋がっています。
そして、記憶の脳として有名な海馬の体積は睡眠時間と正相関することがはっきりと判っています。睡眠時間が短い子どもは、海馬が小さいまま大人へと成長します。子どもに夜更かしさせることは、「子どもの将来の可能性を狭める行為」なのです。
次に「朝ごはん」についてです。
脳に必要なブドウ糖を代謝してエネルギーを作るには、ビタミンやミネラル、必須アミノ酸が必要であり、パンやおにぎり等の炭水化物だけの朝食では、それらを補うことができず、食べたことにならないそうです。「朝ごはんにしっかりとおかずも食べないと脳は十分に働かない」ということでした。
非常に衝撃的なお話しでしたが、これらは全て科学的に証明されています。家庭での生活習慣が脳の発達に大きく関係していることに気付かされました。
今、子ども達の為に何ができるのでしょう?親である私達が一歩前に踏み出すことが大切なのではないでしょうか。